ams

a tokyo based manicurist, hatsuki furutani's salon works from a.m.s. ebisu place in shibuya

2012-04-25

古谷葉月の金魚鉢の底 そして誰もいなくなった

a.m.s.恵比寿プレイスです。

今日はわたし解説者マサ子(仮名、37歳)のネイルだ。なんか、ごてごてしたくないんだよね。とか言ってたらこんなんなっちった。ごてごての概念を間違えたかもしれない。


何か誰も住んでない金魚鉢の底の藻と石に見える。浴衣っぽくも見える。

私だって木の股から生まれたわけではないので、昔叔母さんがいた。叔母はネコが好きで最盛期には十何匹とか飼ってたんだよね。そんで、たまに叔母の家に遊びに行ってたんだけど、ある時ベランダに出たら、白いホーローの盥に水が入れてあって、中心に藻の塊が浮いてんだよね。水と藻だけベランダに置いてあるのは変だから

これ、どうしたの?って言ったら、

それ 金魚がいるから。って言うんだけど私の目にはどう見ても金魚はいなかったから、

いないじゃん って 言ったら

その藻の下に1匹いるんだけど出てこなくなっちゃった

とか言うわけ。

訳を聞くに、もともと金魚を飼う趣味なんかないくせに、お祭りだか何かで和金の安いのが売ってたから、ベランダに飼っておけば猫が喜ぶ ってあんた最初から育てる気あんまないだろっていう理由で何匹か金魚を飼ってきたらしいのね。ネコがいる家で金魚を生かしておくには、ガラスの鉢じゃなくて、背の高い水槽にして尚且つ蓋をしておかないと、ふと金魚鉢を見るとネコが音もなく金魚鉢にまたがって、脇の下まで腕を水につけて ぐるぐる水をかき回して金魚を取ろうとして目がらんらん髭はびんびんていう事象が発生する。だから、蓋も付けないで盥に水張って、金魚を泳がせてたら、盥の回りを囲ってネコが鈴なりになって、みんながネコ手でもって水をぐるぐるかき回す事に集中して、誰もベランダから帰ってこなくなっちゃったとかいって、1-2日でほとんどの金魚は捕られてしまったらしいんだけど、生き残った金魚は盥の回りに鈴なりになったネコが常に手を入れてるもんだから、藻の下から全く出てこない。

そういうするうちに、ネコは忘れっぽいもんだから藻の下にあと1匹生き残ってるっていうのを忘れちゃって、今やだれも盥の水をぐるぐる回したりしないんだけど、金魚の方は覚えていて、決して藻の下から出てこなくなってしまったらしい。その次に叔母の家に行ったときは、たぶん盥は無かったと思うから、結局食われちゃったのかもしれない。

それでは。